後悔しない予算の使い方
多くの場合、家を建てる上でいちばんの課題になるのが「予算」ですよね。「理想
の家を建てるためには、お金はいくらかかってもいいんだ!」という人は、まずいません。
さて、この限られた予算をどう使うのか、どうれば後悔しないのか、というのはとてもムツカシイ話です。人によって、考え方がすべて異なるからです。ここでは参考までに実際にあった話を少し紹介してみますね。
40代のご夫婦。子どもは2人。このご家族の要望は、「建物に関わる予算は、2000万円」だということ。もちろん、消費税やら、その他の諸費用もぜーんぶひっくるめてです。加えて外構工事も。つまり土地に関する費用以外のすべてです。
で、プランづくりをスタート。当然のことながら、私もいつもまず予算を念頭に
いて、プランづくりに取り組みました。建物の床面積は、約40坪弱。あーでもない、こーでもないという、いつも通りのやり取りを経て、お客さんの要望と予算とのバランスを取りつつ、何とかすべてひっくるめて2000万円に納めることができました。仕様も要望と予算にしっかり合わせて。
これでメデタク、契約。あとは、きっちりととプラン通りに家を建てていくだけ、だったのですが……
あらためて、これまでそのお客さんが出された要望を整理し、プランを見直してみたのですが、確かに要望はパーフェクトに満たされています。でも、何か違和感を感じたのです。正直、それはプランを検討している過程でも何度か覚えた違和感でした。
そこで、もういちど冷静になって見直してみました。お客さんも納得して、契約をすませてくださっているにもかかわらずデス。
見直してみた結果、私の結論は、こうでした。
すべてが「ギリギリ」の状態であること。
確かにお客さんの要望や条件は満たしているが、広さ、仕様、それらのすべてがギリギリの状態にあることに気づいたのです。もちろん、そのお客さんが当時住んでいたマンションよりも広く、子どもたちの将来も考えてプランづくりをしました。
でも、どうみても「ゆとり」や「余裕」「遊び」がないのです。
正直、悩みました。お客さんは、満足しているのです。今のプランに納得もしているのです。予算を決めているのに「ゆとり」や「遊び」なんて、とも。
それでも、やっぱり「あとで後悔するのではないか」という思いは拭えませんでした。
結局私は、意を決して、あらためてお客さんに新たな提案をしたのです。
お客さんの反応は、「何で?」。
当然の話です。今のプランに不満はなく、また何より予算遵守という大命題をクリアしているのですから。さらに、ギリギリの状態で完成させたプランに新しい提案が加わるわけですから、予算もプラスαになってしまう。
それから、お客さんとまた新しい提案について、その必要性について、あーでもないこーでもないという議論をしました。
正直、今のままのプランだと「あとでお客さんが後悔する」という思いに加えて「このままだと自分が後悔する」という思いもあったことは確かです。
でも、新しい提案や私の考えを一度聞いてもらって、それでも今のままで良いと納得してもらえるのならそれでイイと思ったのです。
で、最終的には、床面積を約4坪ほど拡げることに。
そのスペースで新たにできたスペースは、以下の通りです。
- リビングと続いていた和室を広く。
- 2Fの廊下と部屋の間に空間を設けた家族の共用スペースに。
- 2Fの寝室を拡げ、ゆったりとゆとりのあるスペースに。
- 玄関スペースを拡げ、収納を増設。
で、これによって……
- リビングと一体になった内装にすることで、より広々としたリビング空間が完成。
- 拡げた和室には、四畳半だけ琉球畳を。そのまわりをフローリングにして、内装もリビングと統一。こうすることでリビングの空間が拡げたスペース以上に広々と感じられるゆとりの空間に。
- 2Fのスペースは、家族みんなが使えるパソコンスペースとして。
- 広々と安らぎある寝室に。
- 玄関に設けた収納スペースには、子どもたちやおとうさんの趣味の道具もゆったりと収納。将来、少々あれこれモノが増えても大丈夫!
何だか、「劇的・ビフォア・アフター」みないな口調になっちゃいましたが……。
で、気になる予算のアップは、約120万円。坪当たり約30万円。あと、1Fの内装や拡がったスペースの照明などで80万円ほどでした。
この費用が高いか、安いか。
いずれのスペースも、効率だけを考えればなくても良い(済む)空間なのかもしれません。でも、要は、そのスペースを取ることによって、家族みんなの生活が快適になるかというのが判断基準になると思います。
特に、内装や設備などは、ある意味将来いくらでも変えることはできます。でも、全体のスペースだけは、将来子どもたちが大きくなって、手狭に感じてもどうしようもない。
このように、最終的にスペースを増やすかどうかは別として、予算を優先して来たプランを、も一度じっくりと見直してみて、「これでいいのか?」「もっと工夫できないか?」と、担当者にあれこれ提案させてみれば良いと思うのですが、いかがでしょう?
|