●見てもわからない家のつくり
3年ほど前、知り合いに頼まれて、購入候補の中古住宅を見に行った時のお話です。
最初のきっかけは、知り合いの娘さんが結婚に際し、「マンションを買おうと思っているので、物件をプロの目で見てほしい」との依頼からでした。
新婚のお二人は、「使い勝手の良いマンションがいい」ということで、大阪市内のマンションを色々と探していました。
そこで一緒にいくつかの物件を拝見したのですが、どう考えても高い。間取りやマンションの造り以前に、「市内の駅近」という好条件を考えても、「何とも高いなぁ」というのが私の受けた印象。
あわせて、『終の住処(ついのすみか)』でお話たように、その候補のマンションのどれもが、「終の住処」になるとは思えなかったのです。
しばらく経ってまた、「中元さん、また一度見てほしいのですが」とご連絡があり、今度は中古の一戸建て住宅を見てほしいとのこと。
事前に、立地、土地の面積、建物の延べ床面積、築年数、そして価格をお聞きしていたのですが、非常に条件が良いのではと。
お会いしてもおふたりも、もう「ほとんど決めちゃおう!」という勢い。
で、実際に見に行きました。
確かに、デザイナーズ住宅として販売していたように、外観はオシャレで、娘さんが言うように「めっちゃ可愛い!」家です。
造りもそれなりにしっかりしていそうです。
まずは、家に入る前に外観をざっと見て、建物の周辺をぐるり。
正直私の中ではこの時点で、「?マーク」が…。
玄関を入って、玄関から、2階のリビングへ。
この時点で、私の答えは決まっていました。
はっきりと「NG」です。
その理由は、こうです。
まずは、隣の家との隙間がない!
一見、隣との隙間に入ることもないから関係なさそうなのですが…。
もし、老朽化した時、壁からの水漏れが出た場合、この隙間では修復工事は不可能。もちろん壁からの水漏れなんてそうそうあるものではありませんが、それは、家を建てた際に「きっちりと施工されていれば」の話。
この時点で、それを覚悟して住まれますか?と。
次に間取り。
一見、一階にひと部屋があって、二階はリビング&ダイニング。三階は子供部屋と寝室、とごくごくフツーの間取りです。
それぞれのスペースもそれなりに確保してある。
おそらく、初めて家を買おう、建てようという人が見たら何の疑問も持たないはずです。
でも、私は驚きました。
正直、「こんな間取りはあり得ない!」と。
何が問題なのかというと、スペースの取り方がメチャクチャ=ムダだらけだったのです。
つまり、一見、平面図や家具のない状態で見るとわからないのですが…。
ここに家具が入り、実際に暮らす、つまり24時間365日生活するとなると、どう考えても使い勝手のめちゃくちゃ悪い=住みづらいものになっていたのです。
柱の通し方ひとつ、部屋の構成の仕方ひとつ、正直これまで20数年家づくりに関わってきた私の常識にはない作り方だったのです。
おふたりにはその理由をひとつづつご説明しました。
言うまでもなく、その話はお流れとなりました。
このケースで私が感じたこと。
家を建てるのが初めての人は、図面や、もしくは実際の建物を見ても、その使い勝手や問題点には、まったく気づかないのだ、と言うこと。
で、「売らんがための建売り業者さんや不動産屋さん」は、「こんなにいい間取りで、しかもこの値段です!」と一見カタチになっているところだけを強調して、取引を進めているのですね。
だって、私からすると、あの家は、およそ「住まい」と呼べるものではなかったんですもの。
家を建てる、というテーマからは少しずれてしましましたが、家を買う、家を建てるにあたっては、自身で家づくりの勉強をすることはもちろんのこと、知り合いに聞いたり、見てもらったり、できる限りのことを検証した上で決めるようにしてくださいね。
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