第九話 『乗せ引き注意報!』〜い、い、いっせん万の値引きって!!

最近、お客様から、こんなご相談を受けました。
その内容は、「常識外れの値引きをしてくれると云ってくれる業者があるのですが、信用できますか?」というご相談。

要は、「最初の段階では、結構高い坪単価を表示していながら、見積り段階で、それも競合している他社の見積り金額を聞いたとたん、信じられないような金額の値引きをしてきた」というのもので。

このカラクリが、どうなっているのかと言いますと……。

例えば、街の小さな宝石屋さんなどで『値札から半額』という赤札が付いていて、一見、「えっ安いかも!」って思うあなた。良ーく見てみると、値札の定価そのものが以前よりも高くなっていた、と。

なんのこっちゃ!ですよね。要は、あらかじめ元値を高く設定しておいて、そこからどーんと値引きをしたと思わせるやり方です。『乗せ引き』なんて言われたりします。
このような手法が、最近 一部の建築業者の見積りなんかで増えてきているのです。

以前から、この『乗せ引き見積り』の手法を、“伝統的に”得意としていた一部の建築業者はありましたが、ここに来て、(今さら、ナンでまた?と思うのですが)その手法を使い出したメーカーが増えてきているのです。

その営業スタイルを簡単に ご紹介しますと、こういうパターンです。


住宅展示場などで、初回面談のとき折に、営業マン君は「当社のツボ単価は65万円からです」と、オプションばかりのモデルハウスを自慢気に見せながら、いかにも高級商品ですよとアピールします。
 
お客さんが「じゃあウチは、予算的にムリだね」と、諦めかけると、決して営業マン君は「そうですね」とは云いません。「精一杯ガンバッてみますので、提案だけでもさせて下さい」と、食い下がってきます。
 
その営業マン君は、お客さんに競合メーカーの進み具合について探りを入れながら、打合せを進めていきます。(お客さんはチラッと、こう思ったりします・・・この営業マンはいったい誰と商談しているの? お客の私たちではなく、競合メーカーを相手に仕事をしているのでは?と)
 
見積書を出すタイミングになると、何故か?粘りにネバって、他社の見積りが出るまで自社の見積りを出そうとしません。(その営業マン君は、先に見積書を出したら他社に負けると、本気で信じています。)
 
で、営業マン君は、ガンバッた(?)甲斐があって、めでたく(?)他社の見積りが出揃った後で、数百万〜1千万の『値引き枠を上乗せした見積書』(つまりまだ値引きできる見積書)を用意して、「他社の金額を教えて下さい」と、当然のように尋ねます。
もしくは、「当社に決めて頂くなら、ナンボ万円を値引きしたら良いですか?」とも尋ねてきたりもします。
 
お客さんが、正直に他社金額や希望値引き額を答えると、その営業マン君は、「分かりましたっ!赤字になりますけど、今契約してくれるなら、特別に○○百万円お値引きします。」
タマに調子に乗っちゃって、「今回の値引きは特別なので、他の人には絶対言わないで下さいよ」とか言っちゃったりします。
 
お客さんが、「どうして特別なの?」と聞くと、営業マン君は答えます「ココの敷地は立地条件がよく、建築して頂くだけで、当社の広告塔になります」とか、「期末の売り上げがあと1棟分だけ足りないので、引渡しを○月にさせて頂く事を条件に決済を取りました」などなど……。
 
お客さんは、そもそもココの会社は高いという先入観がありますから、「えっ!そんなにたくさん値引きしてくれるの??」とクラッときて、気が付けばハンコを押していた、と。


裏を知っている者からみたら、まるで、ちょっとした新喜劇です。

もちろん、総てのお客様に“特別値引き”をしています。
当たり前の話ですが、赤の他人のお客さんに赤字で家を建ててくれることは絶対に無い!ので、念のため。

この流れから、お解かりだと思いますが、つまりお客さんの予算や、競合メーカーによって、値引き額が変わってしまうのです。要は、元の価格をどーんと高く設定しているため、「値引きできる幅」が大きい。

ということは、例えば、競合に価格の安いA社が入っていれば、値引き額は大きく、まあフツーの価格のB社なら値引きは少なくなってしまいます。

で、実際、最初の見積額から1千万円の値引きなんてことも少なくないのです。

1千万円の値引きをしても、採算がとれる見積額とは、そもそもナンボ万円の利益額を設定した見積書なのでしょうかね????

日々、細かな工夫を繰り替えしながら、なんとか数万円のゆとりを捻出してもっと有効に使えないかと苦しんでいる、ワタシ・怒っています。



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