第十八話 『不毛の議論? どの工法が地震に強いか?』

阪神淡路大震災以降、また昨年の新潟中越地震、スマトラ沖地震などによって、地 震に対する家の強度に注目されることが多くなってきました。

そこで出て来るテーマが、「どの工法が地震に強いのか」というもの。

みなさんも、多くの住宅メーカーさんのパンフレットなどで「うちの工法は、地震 に強い!」といった「強度」に関するコメントを目にしますよね。
そこには必ずといっていい程、「素材や構造に関する性能の説明」がされています。
とーぜんのことながら、どこの会社も「自社の工法がいかに優れているか」をPR しています。

そこで、あなたはそれをひとつひとつ比較検討したりしますよね?
で、ある時気づきます。「どこも一長一短だなぁ」と。
当たり前の話ですが、「やり方や素材が異なると、必ずメリットもデメリットもある」と。

もちろん、あなた自信が思うこと、気になることに対するメリットがデメリットを 上回っていれば、それを選ぶのもいいでしょう。
でも、ここで気をつけて欲しいのが……。
素材や新しいシステムなどの「単体の性能や機能」だけで判断しないこと。

例えば、家の基本となる「構造・工法」について一例をあげますと……。
「鉄骨造の家と在来木造の家、果たしてどっちが地震に強いのか?」という比較。

  まず鉄骨造の家に使われる柱は「鉄骨」です。当たり前ですが……。
一方、在来の木造住宅の柱は言うまでもなく「木の柱」。

で、鉄骨造の家と在来の木造住宅とでは、どちらが強いのか?
単純に考えて、「鉄」と「木」という素材を比べると、木より鉄の方が「硬い」。
「硬い」ということは「強い」。これは小学生でもわかりますね。そうすると、鉄骨 造の家の方が「強い」ということになりそうですが、そういうことではないのです。
「んじゃ、在来木造の家の方が強いンかいな」と……、これも違う。

カンタンに言うとこういうことです。
例えば、鉄の柱1本の強度を「20」。木の柱の1本強度を「10」とします。(※わ かりやすく説明するための数値なので、鉄は木の2倍の強度があるということではあ りません。誤解なきよう。)
で、ある規模の家を設計するとき、その家の全体の強度は「200」の強度が必要だと すると、単純に「鉄の柱なら10本」、「木の柱なら20本」使うことで、同じ「200」 の強度を確保するように考えられているのです。
加えて、素材や工法には、細かな癖や特長がありますので、それも含めて総合的に 全体の家のプランが考えられているものなのです。
また逆に、いくら素材の強度や性能が優れていても、バランスが悪かったり、性能 を活かす使い方ができていないと、その性能はまったく意味のないものになってしま うのですね。

もうおわかりですよね。
つまり、多くの住宅メーカーさんのパンフレットや住宅雑誌などで説明されている 「素材そのものの強度や性能」だけでは、「どちらが強いか?」という比較はあんま り意味がないってこと。

あまり素材や工法の「数値的な性能」ばかりに目を奪われないように。
そんなことよりも、性能のことをある程度頭に入れた上で、「それがどう活かされ ているのか?」「地震に対する強度を“家全体で”どう工夫しプランしているのか?」 ということを営業担当者や設計者に、しっかり説明してもらうことの方が大切だと思 うのです。
担当者も説明できるはずデス。素材の性能だけに頼らず、家全体を考えて、ちゃー んと工夫をしていれば、ね。



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