今回は、私が考える“後悔しない家づくり”についてちょっとお話してみます。
私は以前大手ハウスメーカーの営業マンでした。若いころ、ご予算の厳しいお客様に
は、「少しお値段は高くなるけれど、こうしたらグッと良くなるのになあ」とか、
「このお客様なら好きそうな こんな商品があるんやけどなあ」など、教えてあげた
くても、工事費が上がるような提案は出来ませんでした。
なぜかと言うと、こちらが提案して価格が上がった分は、そのまま値引きに直結する
と思っていたからです。
つまり、お客さんのために「こうすればもっと良くなる!」と提案してみも、「おぉ!
それいいねぇ!……今の予算でやってね!」というケース。実際、そういう経験もた
くさんしました、ハイ。そういことが続くと、自然と「これを提案してもなぁ…」と
どんどんネガティブになっていってしまうのです。
また、ハウスメーカーにいた頃は、営業マンは「一物件あたりの打合せ時間(日数)」
を制限されていたのです。要は、「一軒の家を建てるのににコレ以上時間をかけては
イケナイ!」というルールが存在していたのです。つまり、「余計なことを言って、
お客様に迷われると時間が足りなくなる」という今ではちょっと信じ難い事情もあり
ました。
今から思えば、本当に言語道断です。でも残念ながら事実でした。
(当時のお客様、本当にごめんなさい。)
さて、“後悔しない家づくり”とは?
結論から言いますと……。
『出来得る限りの選択肢を用意した上で、費用対効果や、重要度の優先順位、また限
られた予算の割り振りなどを検討した上で、それこそ身を切る思いで、取捨選択して
いくことで、納得した上で最良の家を建てる』と言うことだと思います。
言葉にしてみると、ごく当たり前のことです。
でも現実には、無意識のうちに「予算が膨らむこと」を避けがちです。(当たり前で
すが)
新たな選択肢というのは、知れば知るほど、見れば見るほど、予算は膨らんでいきま
す。正直、ビックリするほど膨らんでいきます。
でも、『知らなかった』よりも『知っていたけれど、納得して諦めた』の方が、良い
ですよね?
その選択肢の存在を知らずに、自分が家を建てた後で、お友達の家で……。
あなた「え〜〜〜!こんな便利なモノがあったん?!」
お友達「えっ?知らんかった?ちょっとの差額で変更できたよ♪」
あなた「知ってたら、私も絶対、ぜったい、ゼーッタイ採用してたのに〜〜(怒)」
お友達「♪♪」
とは言うものの、もしかすると、事前にご紹介しても、熟考の結果、不採用だったか
も知れません。でも、逃した魚は、ものすご〜く大きく見えるものです。だったら
知った上で決めたい。
もう少し解りやすい例をご紹介します。
システムキッチンに内蔵されたビルトイン食器洗い乾燥機って、ありますでしょう?
アレも幅が45cmとか、60cm、2段式など、大きさ(容量)が幾つかあるんですよね。
でも、不親切な担当者は、「オプションになりますが、食洗は付けますか?」だけで、
大きさまでは聞いてくれないこともしばしばあるのです。
ご家族が多いご家庭なんかは、ゼッタイ知っておきたい選択肢ですよね。
「いつも食洗に入りきらなくて、お茶碗を2つ3つ手洗いしてるのよ」
てな奥様が後から知らはったら……、想像するだけでナサケナイ。
では、その『出来得る限りの選択肢を用意』するには、どうすれば?
ご自分で納得いくまでお勉強できれば、一番良いのですが、お時間もない、第一、何
をどこまで勉強すれば良いのかもわからないのが現実ですよね。
そうなると、担当者の『引き出し』の数が決め手になります。
それは、商品知識だけでなく、使い勝手であったり、空間を捉える感覚であったり、
デザイン力であったり、収納のアイデアであったりですね。
もっと根本的なことを云えば、構造強度もしっかりアドバイスして欲しいですよね。
お客様のご要望を実現したいが為に、構造的に好ましくない設計をせざるを得ない場
合も多々ありますが、ひと言「この部分で構造的には弱くなりますが、いかがですか?
」と問いかけて欲しいですよね。とーぜん、そうすることのメリット、デメリット、
リスクの幅なども。それなしに「お客様が、そうしたいと言ったからそれにお応えし
たまでです」なんていうのは言語道断ですよね。
でも現実は、一般に計算上ギリギリでも何でもクリアしていれば、そのひと言がない
担当者の方が圧倒的に多いように思います。
どう考えてもおかしな話です。
悲しいかなこのような話は、今でも少なくないのです。このような考えられない現実
がまだまだあるのです。ハッキリ言って住宅業界全体の問題です!
また話が長くなってしまいましたが……。
“後悔しない家づくり”とは?
さっきの話に戻って……。
でも、もしそのお客様が、その担当者の身内なら、その担当者は、きっとこう云うで
しょう。
「やりたいことは分かるけど、ヤメておいた方ががいいよ」
どういうこっちゃーーー! 身内には本音を言うが、「お客」には言わないのか!!!
これが「後悔しない家づくり実践研究会」の原点です。
つまり…、「これから家を建てる人が、自分の身内なら…」。
私たちはこれからも「“自分の身内にアドバイス、提案する”という視点」で、“後
悔しない家づくり”をサポートしていきます。“納得の家づくり”ができる人をひと
りでも多くしていきます。
|