第二十八話 建て替えか?リフォームか?

『お問い合わせコーナー』にこんなご質問を戴きました。

いつも、楽しみながら家づくりのお勉強をさせて頂いています。
−中略−
さて、この度、初めて質問をさせて頂きますが、今住んでいる家が、築後28年で、建て替えをするか、リフォームをするか、悩んでいます(夫婦で意見が分かれています)
建て替えとリフォーム、それぞれの長所、短所を教えてください。

という内容のご質問でした。

そういえば、今までリフォーム(増改築)については、ほとんどお話していませんでしたね。
こんなお返事をさせて頂きましたので、ご興味のある方はご覧ください。


先ずは、リフォームのメリットから。
リフォームのメリットは、何と言っても、建替えよりも費用面が有利なこと。
そして、工事の規模にも拠りますが、住みながら工事をしてもらえるので、仮住まいの手間が無いのもポイントが高いですね。

では、デメリットはどうでしょうか?

真っ先に心配になるのが、今のお家の基本性能です。
つまり、地盤や基礎、そして骨組みなどの『耐震性能』です。

まず、地盤に関して。
今と昔では、地盤に対する考え方が大きく変わっています。
昔は、建物が数十年建っていれば、その建物の重みで地盤も締まっているから大丈夫。みたいな考え方が巷間では浸透していました。
(もちろん昔も今も、建築・土木の専門家は、そんなことは言いませんよ)

しかし、軟弱地盤と呼ばれる土地は、想像以上に多いのです。
私が仕事をしている関西では、40%が軟弱地盤と言われています。
40%って、5件に2件の土地の地盤が弱いってことです。半分弱ですね。

現在、お住まいされている土地の地盤が、もしも弱かった場合は、家をジャッキアップでもしない限り地盤を固めることが出来ません。

また、基礎も地盤と同様で、基本的に補強することはできません。

最後に、骨組みについて。
これは、耐震補強は可能です。しかし、補強の内容によっては、建替えと比較した場合に、コスト面でのメリットが無くなる場合も多々あるようです。

つまり、リフォームか? 建替えか? の判断基準の一つとして、『地盤調査』と『基礎強度の確認』が必要不可欠だと云うことです。
また、骨組みの耐震補強が必要な場合は、いくら費用が掛かるのか?も重要ですね。

ちなみに、今の家(土地)が、道路よりも高低差が高く、ブロックや石積みなどで土留め(ヨウ壁といいます)をしている場合は、そのヨウ壁の強度も同じく大変重要になります。

万一、地震が来たときに建物と土の圧力で、ヨウ壁が倒れるとか、決壊すると、建物も一緒にコケることになります。


2つ目の判断基準としては、新しい住まいにナニを求めるのか? 
これは本当によ〜く考えて欲しいのです。

例えば、キッチンやお風呂などの水廻りを使いやすい物に入れ替えて、外装、内装をキレイにお化粧直しする。
そして、お部屋の大きさや間取りは、基本的に変更しない。
というようなご要望なら、地盤強度や耐震強度さえ大丈夫であれば、リフォームで十分だと思います。

しかし、今ある壁などをババーンと取っぱらちゃって、開放感のある間取りに変更するような『建築型リフォーム』をご要望されるのであれば、"信頼できる業者さん"に設計をしてもらわないと、非常に怖いことになります。
看板の大きな大手業者さんでも信頼できるとは限りません。
(酷い会社はホントにヒドイです)

そして、"信頼できる業者さん"に耐震補強も含めて、リフォームの見積りを出してもらって、建替え工事の費用と比較されるのがベストだと思います。

いっちばん、もったいないのが、最初はキッチン、次にお風呂・・・などと次々にリフォーム工事を重ねて、そして、最後にやっぱり建替え。
みたいなパターンは泣くに泣けません。
「結局、家2軒分の費用が掛かちゃった(泣)」ってことになります。
こんなお話、ホントよく伺うのです。

あと、今の家の天井の高さが低ければ、リフォームで天井を高くすることは出来ませんので、念のため。


少し蛇足になりますが、以前に、あるお客さんから、こんなお話をお聞きしました。

「3社のリフォーム業者に来てもらって、プランを依頼したが、『この壁は抜ける、この壁は抜けない』という構造の見方が3社ともバラッバラだったので、信用できず、仕方ないから、構造に詳しい建築士(大学の先生)に頼んで診てもらうと、3社とも間違っていた。カスってもいなかったんです」と。

その建築士さんのご教授によると、「リフォームで耐震補強をすると、建替え工事よりも費用が遥かに高くなる」
とのことだったので、リフォームはヤメて、建替えに計画を変更されたそうです。

リフォーム(増改築)の成功、失敗は、業者選びに掛かっています。

と言うのは、何と、リフォーム業者には、『建設業』の許可は不要なのです。
(500万円未満のリフォームには建設業の許可は不要)

そして、『建築士』の免許がなくても、設計・施工をすることが許されています。(2階以下で100m2以下の木造などは建築士でなくても設計可)

また、新築の場合は基本構造に関して10年保証を義務付けていますが、リフォームの場合は、特に決まりがありません。

おまけに、『建築確認申請』の手続きをせずに、工事をする業者さんも多いと聞きます。
(10m2=3坪を超える増改築には『建築確認申請』が義務付けられています)

ということですので、リフォーム業を開業するハードルは、以外に低いのですね。
つまり、選ぶ側(お客さん)が、シッカリ業者選択をしなければならない。
ということです。

また、リフォームの場合、難しいのは、壁をめくってみないと、柱の状態が判らないところです。
つまり、工事を始めてみないと、工事費が確定しないのですね。

これは、難易度が高いですね。
お客さんにしてみれば「そんなっ!契約後に追加費用を請求されても困る!」
って感じですし、かといって、柱が腐っているのに、それを無視して工事を進められても、コレまた困りますもんね。

業者さんによっては、最初からある程度の『安全費』を見込んで見積りを作っている業者さんも有るのかも知れませんが、「それはそれで、どうなの?」って思っちゃいますよね?

私が思いますには、
柱は腐っていない事を前提に、見積りはしてもらう。
腐っている場合は最悪のケース、ナンボ万円ほど追加になるのかを事前に確かめておく。
その上で、リフォームか?建替えか?の判断をする。
というような進め方がベターなのかな? と思いますが、いかがでしょうか?

最後になりましたが、愛着のある家を綺麗にお化粧直ししてあげて、大切に使ってあげることも重要ですよね。
さらに、資源の有効利用にもなりますので、地球に、環境にやさしいっていうことも大事ですね。


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