私が、お客さまの家づくりの中でよく出くわす場面のひとつがコレ。「やっぱりリビングはやっぱり10帖は欲しい」とか、「ここの幅は910ミリでは狭いよなぁ」というような「数字」の話。
いやいや、細かい部分なんてどーでもイイ、と言っているわけではないのです。部屋の微妙な広さひとつで住み心地は大きく変わってきます。それは重々承知の上で、どーしても気になる。
また空調設備や建物のなどの性能を示す「数値」を持ち出して、「うーん、こっちの方が優れているしなぁ」というようなことをよくおっしゃる。
確かによく勉強されているのでしょうね。それはそれで良いことです。
でも、プランづくりの打合せの時、いつもこだわられるのは「数字・数値」のことばかり。
プランづくりの中でもっとも大切なことは、数字や数値ではなく、その家で暮らして、いかに快適か、いかに使いやすいか、ということだと思うのです。
誤解のないよう言いますと、決して数字や数値をまったく無視して良いということではありません。
要は、どうもプランを考えるのに使う時間と手間をかけるべき部分のバランスが悪いのでは?ということなのです。
もっと時間をかけてじっくりと考えてみて欲しいなぁと思うのは、例えば、この部屋は毎日の生活の中のどんな場面でどのように使うのか? この廊下を使う頻度はどれくらいだろう? ここの収納には何を入れて普段どれくらいの出し入れをするのか?
などなど本当に山のようにあるはずです。
このような「使う目的」についてしっかりと考えて、何を優先すべきか、絶対に譲れないのは何なのかを明確にした上で、初めてそのために必要な寸法や広さ(数字や数値)を決めて行けば良いと思うのです。
あと、使う目的や状況を明らかにしないで、数字や数値を優先して積み上げていくと、たいがいの場合どこかに無理が生じる。そして、それを何とか納めようとすると、仮に図面上は納まっていても、実際には非常にバランスの悪い、使い勝手の良くない空間か出来上がってしまうことになるのです。
まさに「木を見て森を見ず状態」。つまり、視点とバランスがズレてる。
またキッチンやバスルーム、エアコンなどの空調など、これらのいわゆる設備というのは、「今は最新の設備であっても、いつか必ず古くなってしまう」のです。しかもテレビやビデオなどの電化製品を見てもわかるように、わずか一、ニ年も経たない内に、もう次の「最新設備」が出て来ますよね。家の設備はそこまで極端ではないにせよ、結局は同じことです。
それに比べ、家という建物や間取り、空間の取り方はよほどのことがない限り簡単に取り替えることはできない。
大切なのは、「何をどう使うために、どれくらいの広さ、空間やどのような機能や性能が必要なのか」ということを導き出すことなのです。
もっとよーく考えて決めなきゃならないことは、たくさんあるはずです。四六時中チラシやカタログとにらめっこしてばかりいると、プランづくりの中で本当に大切な部分を見落としてしまうことになってしまいます。
ひどいときには、お客さんの家で顔を突き合わせてプランづくりの打合せをしていても、集めたカタログから目を離さず、カタログの参考プランの数字を列挙し続けていく。その間、質問、相談は一切ナシ。
何でも聞いてくれればイイのです。すべてのプランには、それぞれの目的と理由があってその寸法になっているのですから、ひとつずつ説明もできます。また何よりも、これから何十年にも渡って新しい家に住むあなたや、あなたの家族がどんな生活をしたいのかを聞かせて頂くことで色んなプランを描くことができるのです。
だって、あなたが描く暮らしに合ったプランをゼロから一緒に創り上げていくための打合せなのですから。
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