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 第七話 そんなアホな! バリアフリー住宅

ここ数年、住宅の分野でもバリフリーという言葉を目にする機会がめっきり増えました。高齢者の割合が増え、マイホームづくりでもお年寄りや体が不自由な人も快適に過ごせる住宅を!という訳ですね。
あちこちの住宅のパンフレットやチラシを見てみると、「バリアフリー住宅!」と大々的に宣伝していたりします。その中身はというと、決まって定番の仕様として載っているのが、部屋の敷居の段差をなくしたり、階段やバスルームに手すりを付けるといったたぐいのものですね。他聞に漏れずうちのチラシにも小さく載っています。
はたして、これでバリアフリーの家と呼べるのでしょうか?
もちろんこれらの段差のない敷き居や手すりといったものは、お年寄りに限らず私たちや小さな子どもたちにとってもなかなか快適なものです。

でも、バリアフリーって、そんなことですべてが解決するのでしょうか?
以前、こんな体験をしました。私の友人の家に遊びに行ったとき、その友人が、「隣のお宅が建て替えるらしい。ウチのカミさんがそこのおばあちゃんと仲がイイんだ。オマエ、プロだろ、ちょっと相談に乗ってやってくれ」と。
聞けば、すっかり古くなった家を建て替えるとのこと。住んでいるのはおばあちゃんと息子さん夫婦。私はおばあちゃんとひとしきり世間話をして、最後に「家を建てる時にわからないことがあったら何でも気軽に言ってくださいね」と言っておきました。いえいえ、営業ではありませんよ。だって家づくりに関しては、息子さんが中心になって進めていましたし、もう有名な住宅会社さんに決まっていましたから。
それから数カ月。結局、おばあちゃんも私に気を遣ってくれたのか、おばあちゃんに発言権がなかったのかわかりませんが、私は何もアドバイスする機会もなく立派な家が完成したようです。
私が友人ちに行ったとき、「家が完成したのでぜひ見に来てください」と本当に嬉しそうな顔で、そのおばあちゃんが声をかけてくれました。
で、早速、おばあちゃんちへ。
おばあちゃんは、私を満面の笑顔で迎えてくれ、ピッカピカの門扉を開いて、私を招くように玄関へ。
しかーし! おばあちゃんはなかなか前に進まない。玄関のドアまでに、決して低いとは言えない5つの段差があり、あばあちゃんはその段差を一歩ずつ「よいっしょ!」とつぶやきながら登っていたのです。で、ようやく山頂(?)へ。玄関に入ると、おばあちゃんが手にしていた小さな包みを置くところがない。座って靴を脱ごうとしても座るスペースがない。おばあちゃんは額の汗も拭おうとせず、小さな玄関の両側の壁に手をついてようやく室内へ。
ざっと各お部屋を拝見させて頂きました。階段にはしっかりとしてちょっとオシャレな手すりが付いている。バスルームしかり。部屋の間やバスルームへの段差もない。
「息子が苦労して建ててくれたんですよ。もう嬉しくって!」と額に汗を浮かべながら少し引きつったように笑うおばあちゃんを前に、私は「いいですねぇ。きれいなお家になって」としか言えませんでした。

これが「決め細やかな心遣いが随所に活かされた人にやさしいバリアフリー仕様のマイホーム」だそうです。悲しいかなこれがバリアフリー住宅と呼ばれる家の現実なのです。
どこが間違っているのか?
確かに家の中に入ってしまったら、それなりに快適になっています。でも家というのは、敷地や廻りの景観も含めて初めて家として成り立つものだと思うのです。(でも実際にプランの打合せをする時に敷地図は入っていない間取り図だけで話を進めている営業マンも少なくないのです。)
この家を設計した人は間違いなく、この家におばあちゃんが住むことに対して自社のバリアフリー仕様を取り入れればそれでOKとしか考えていなかったはずです。
バリアフリーとは、手すりを付けて、段差をなくすことですか?
そんなアホな!
工夫が足りない。というか、工夫がまったくない!
敷地の使い方、室内での動線のこと、階段の傾斜やステップの幅、間取りの置き方などなど、お年寄りが快適に生活するためによう工夫すべきポイントは山のようにあるのです。それを手すりと段差フリーだけでバリアフリーなんて、あり得ないと私は考えています。
今あなたがもしバリアフリーの家にしようと考えているのなら、試しに一度聞いてみてください。設計者がちゃーんとそれを考え、工夫した上でプランを作っているのか、その設計者の「バリアフリーに対する考え方」というものを聞いてみてください。



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