第十話 家づくりの幅を拡げてみる

家を建てようと思ったその日から、住宅関係の雑誌や本を買ってみたり、インター ネットを検索したり、色んな方法で情報収集していくことになります。
今この本を読んで頂いているのも、そのひとつでしょう。
でも、正直この本の元になっている「住まいづくりのプロが教える! 家づくり ちょっといい話」のサイトを立ち上げたのも、氾濫する家づくりに関する情報の中 で、少し違った視点で「家づくりに役立つ情報を提供したい」という思いからスター トしたものです。
でもこれらの情報源というのは、この本やホームページも含め、どうしても「すぐ に役立ちそうな情報」に偏ってしまいがちです。
 なぜなら、人間というのは、どうしても「楽して、得する」という方向に流れて行 きやすい生き物だからなのデス。と、ちょっと難し気な言い方なってしまった。似合 わない。
「すぐに役立つ」というのは良いことです。
でも、ちょっと一息入れて、全然違った視点で「家づくり」というものを考えてみ るというのは、いかがでしょう?

家づくりには長い時間がかかります。また長い時間をかけて建てた家は、それから 何十年も住むことになるのです。また、今、どんな家を建てようかと、あれこれ情報 を集め、じっくりと検討するこの時間は、本当にいい家づくりを実現するためにとて も大切な時間です。
だからこそ、視点を変えて、まったく別の方向から、あなたの家づくりを考えてみ るといいうことも良いのではないかと思っているのです。まったく違う方向から、家 づくりを考えてみることで、これまで思いもつかなかった新しいアイデアや家に対す る考え方が生まれることが少なからずあるはずなのです。

で、何をすればいいのか?
簡単な方法をひとつ。
それは、「建築家と呼ばれる人が書いた住宅の本を一冊、じっくりと読んでみる」 ということです。
おそらくこの類いの本は、あなたの家づくりに「すぐ使えそうなこと」や「すぐに 役立つこと」が載っていることはあまりないと思います。
でも、そこが肝心なのです。この本のように、自分ちの家づくりに、「すぐに使え る」というものではない方が良いのです。
おそらくそこには、「どのように考えて創るのか」「どんなところに神経を使って いるのか」、といった「家づくりに対する考え方」や、そもそも「住宅とは何か」、 「私たち人間にとって、家というのは、どのようにあるべきなのか」といった、ある 意味ちょっとコムヅカシイ話が書いてあると思います。
だからこそ、一度読んでみるのです。
少なくとも彼らは、他の誰よりも、家とはなにか? 住まいとは? ということに ついて、徹底的に勉強し、突き詰めて考え続けているはずです。共感できる話のひと つやふたつは、きっとあるはずです。
もちろん、「何?んだこの程度か」ということになることもあるかと思いますが、 少なくとも、あなたにとって、純粋に、冷静に「家というものは何なのか?」という ことを考えてみるとても良い機会になると思います。
目的は、「家づくりに対する考え方の幅を拡げてみる」ことです。
さて、何を基準にそんな本を選べばいいか?
ほんとに何だってイイのです。タイトルでも、表紙のデザインでも、中に載ってい る家のデザインでも、写真が多いからという理由でも。あなたが何となくコレかな? って何となく気になった本を選べばそれでイイのです。
条件は、「住宅を専門にやっている建築家の本」であること、それだけです。
できれば、ご夫婦でそれぞれ一冊ずつ買って、まわし読みすれば良いと思います。
もちろん図書館で借りてきてもいい。
ぜひ一度試してみてください。
「え? そんな本を薦めて、その人の作品や考え方を気に入って、最終的にその建 築家の人に設計を頼むことになったら、オタクら商売にならないじゃん」って?
お心づかい、ありがとうございます。
でも、それはそれで良いじゃないですか。
だってすべての人にとって、決して私たちが提供する家がベストだとは限らないの ですから。
本で出会った建築家の考え方に共感して「ぜひ、その人に建ててもらいたい!」と 思えること、それはあなたにとってとても良いことだと思います。

家に対する思い、条件、夢や、家を建てるための手段や方法は、十人十色です。
ひとりでも多くの人が、納得できる家を建てる。で、子どもも元気に育つ、お父さん もお母さんもみんな笑顔であふれてる、そんな家がある街って、何か素敵だと思いま せんか。
それが私たちの願いでもあるです。と、ちょっとカッコ良過ぎます?



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